まずダンサーにとってピラティスは怪我予防の役割を持ちます。
高く脚を上げ、つま先で立ち、ジャンプを沢山し、跳んだと思ったらそのまま床でひざまづくなど・・・
振付師たちが考える様々な作品を体現するのがダンサーの役割です。
その中で生まれる体への負担は多く、メンテナンスをせずに続けていくと、いずれガタが来ます。
膝の痛み、腰の痛み、肩の痛み、足首の痛み。上げていくとキリがありません。
しかし、体を資本とするダンサーは痛みがあっても舞台の上に立ち続けなければなりません。
また痛みを見せる事はもってのほか。
観客に重力を感じさせることなく、可憐に美しく、あるいは力強く動き続けなければなりません。
弊社がマシンピラティス専門のスタジオを作るに至ったそもそものきっかけも、
まさに身体を資本とするダンサーたちが長くにわたり好きなダンスを通じて自己表現を続け、
ダンスを仕事として続けられるようにするために何をするべきか?を考えたことでした。
ピラティスを通じてダンサーは身体の歪みをとりバランスを整えることができます。
1か所にかかってしまっている負担を軽減し、そこが原因となって起こり得る様々な怪我を予防する事ができるのです。
また痛みを感じた場合でも、弱い部分の強化をすることで、痛みを軽減ないし取り除くことができます。
ピラティスというメソッドが、1930年代にニューヨークを起点に広がり始め、
ジョージ・バランシンやテッド・ショーン、マーサ・グラハムなど当時ニューヨークで活躍していたダンサーや振付師たちが、身体のコンディショニングやリハビリのためにピラティススタジオに通っていたことも納得です。
次に、ピラティスはダンサーの表現力アップに役立ちます。
腕の動き、足の出し方、ジャンプ力、回転の仕方など、ダンサーの感覚だけではなく、
解剖学の見地から動き出し方を分析し、それに必要な筋肉を付けていくことで、それまでできなかった新しい動きや表現方法を身に付ける事が出来ます。
定期的に通って下さる方が、振り付けや演出の先生に「踊りが変わった!」と言われたと笑顔でご報告下さることも多々。
ピラティスではよく「背骨」の話をします。
骨盤ニュートラルでその上に伸びる背骨が正しいS字カーブを描き、身体の中心線が一本の線になって感じられることは、ダンサーにとってとても大切な事です。
なぜならば、その軸(つまり体幹なのですが)を中心に据える事で、四肢(両腕と両足)を楽に自由に動かせるようになり、バランスを取りやすくなるため、ピルエットなどの回転もブレないようになるからです。
ピラティスを通じて体幹=体の軸を安定させることで、実際に動く腕や脚のパフォーマンスを上げることができるのです。
もちろん腕や脚の細かい使い方を習得できるのもピラティスのメリットです。
こうした地味だけど論理的に確実にトレーニングができるピラティス。
ダンサーを含むあらゆるアスリートに向いていると言われるのは、こうしたメリットがあるからです。
振り付けを練習するのと同じくらい身体作りは大事です。
本気でダンスを続けていこうと思うのであれば、今から自由に動けるうちからピラティスでトレーニングをしていきましょう。身体も表現もびっくりするくらい変わります。